2021年07月

2021年07月27日

一年半待て

 夫殺しの殺人罪で起訴されたヒロインについて、婦人評論家の熱心な支援活動もあって、懲役3年、執行猶予2年の有罪判決がなされるのですが、実は・・・という昭和32年の短編裁判小説です。

 宮部みゆきさんが責任編集されている松本清張傑作短編コレクション上巻(文春文庫)の中で、「特に好きな作品」で、「名作中の名作。これを読まずしてミステリを語るまじ。」とコメントされているほどですので、弁護士は登場しないですが、ここに載せることにしました。

 清張さん自身は、法律の本を読んでいて、一事不再理という条文を見つけてそれをヒントに作品を書いたと言っています(黒い手帳)。

 一事不再理というのは、有罪・無罪の確定判決があった事件については、再度の公訴提起、審理を許さないという刑事裁判の基本原則ですが、それは憲法上の保障でもあります(憲法39条)。

 先の宮部さんによれば、「これをテーマとしたミステリの秀作佳作は他にもありますが、これはまさしく嚆矢。」ということです。
 昭和32年当時に法律書を読んで、それをヒントにこういう作品を書いてしまうところがこの作家の凄いところです。

 ただ、一言すれば、実際に執行猶予を狙って殺人を計画して実行する人が果たしているのかなという気はいたします。

urushihara_law at 17:52|PermalinkComments(0)松本清張