弁護士業務

2021年03月26日

自筆証書遺言(その2) 遺言書保管制度

 自筆証書遺言の利用を促進するために最近以下のような法改正等がなされました。
・相続財産の目録を添付する場合に、目録については自書でなくてもよいとされ、例えば、パソコンで作成したものでもよいことになりました(民法改正)。
・法務局で遺言書を保管する制度が創設されました(法務局における遺言書の保管等に関する法律)。
 自筆証書遺言は紛失や忘失のリスクがあり、さらには隠匿、改ざんのおそれがあるため、それらを防止し、遺言書の存在の把握を容易にするべく2020年(令和2年)7月に制度がスタートしました。
 そして、遺言者が亡くなった(相続開始)後に法務局から遺言書情報証明書が交付されると家庭裁判所での検認手続きは不要とされました。

 それらによって、自筆証書遺言の利用が増えることが期待されます。
しかしながら、遺言書保管制度は保管申請に際し、法務局で方式面はチェックしてくれますが、内容面までチェックしてくれるものではないため確実に遺言執行できることまでは保証されません。従って、利用は単純な内容のものに限定されるのではないかと思われます。
 
 弁護士が勧めるのはやはり作成手数料がかかっても内容面もチェックされる公正証書遺言ということになります。

urushihara_law at 15:25|PermalinkComments(1)

2021年03月12日

自筆証書遺言(その1)

 「相続」を「争族」としないために遺言を作成しましょうとはよく言われるところであり、弁護士の立場からそのとおりだと思います。

 では実際どれくらい遺言の作成がなされているか調べてみました。
 遺言には、主に自筆証書遺言と公正証書遺言があるのですが、まず自筆証書遺言について
 これは自分で全文、日付、氏名を自書(手書き)し、押印することで成立する遺言ですが、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で検認(*)という手続きをとる必要があります。
 そこで裁判所が発表している司法統計をみてみると、全国の家庭裁判所への検認の申立件数(正確には新受件数)は平成28年から年間1万7000件台で推移し令和元年は1万8000件を超えて18,625件となっています。

 検認手続きにあがってこない埋もれたままの遺言書があることも想像されますが、遺言の執行(不動産の相続登記や金融機関の相続手続きなど)には検認を経ていることが必要ですから、それらはなかったのも同然であり、ここでは無視してよいと思います。

 従って、検認件数をもって自筆証書遺言の作成数とみてよいと思いますが、この数字は、全国の年間死者数のうち75歳以上の方は、平成28年頃から毎年だいたい100万人位のようですから(人口統計資料集による)、単純な見方かもしれませんが、その人数からするとかなり少ないのではないかと思います。

*検認
 遺言書の形状、状態などを確認し、その内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きで、遺言の有効・無効を判断するものではありません。










urushihara_law at 16:06|PermalinkComments(0)

2021年02月10日

兄弟姉妹相続(その2)

 夫が亡くなった場合、遺言がなければ、妻4分の3、兄弟姉妹4分の1の割合で相続します。兄弟姉妹の各自は4分の1を人数で割った割合となります。甥姪(代襲相続人)については、被代襲者が受けるべきであった相続分を人数で割った割合となります。
 子どもがいない単身者の場合は、兄弟姉妹が均等の割合で相続します。

 兄弟姉妹が多い場合や甥姪が代襲相続人となる場合、多くの相続人の意向を調整して遺産分割協議がまとまるまで時間と労力が必要となることがあります。
 遺産分割について話合いや協議を行うに際しては、妻の側は、夫が遺言を作成しなかった以上、兄弟姉妹や甥姪にも相続権があるのは法律で認められたものであることを念頭に置いて、他方、兄弟姉妹、甥姪の側は、法律で認められた相続権とはいえ、疎遠であった夫婦に子どもがなかったことや自分の親が先に亡くなっていたという偶然の事情が重なったことによるいわば幸運な相続権であることを念頭に置いて、それぞれ臨んでいただくと無用な紛争を回避できるのではないかと思います。



urushihara_law at 15:52|PermalinkComments(0)

2021年02月01日

兄弟姉妹相続(その1)

 子どもがいない夫婦の場合、夫の相続人は、妻と夫の兄弟姉妹になります。
 子どもがいない単身者の場合は、相続人は兄弟姉妹になります。
 (ここでは両親は既に他界していることを前提としています)
 そして、その兄弟姉妹が先に死亡している場合は、その子ども(甥、姪)が代襲相続人として相続権が認められます。

 両親が共通の兄弟姉妹であっても関係が疎遠であることは少なくないですが、異父母の兄弟姉妹であればなおさら疎遠であることが予想されます。それでも血縁関係がある以上、生前の交流の濃淡は関係ありません。
 このような疎遠な相続人の立場から、いわば棚からぼた餅式に遺産相続する場合のことを「笑う相続人」ということもあります。

兄弟姉妹、甥、姪の相続権を排除するには遺言書の作成が必要です
 そこで、兄弟姉妹や甥、姪に遺産を取得させたくない場合は、また、笑う相続人を発生させないためには、夫が妻に全財産を相続させるといった内容の遺言書を作成しておくことが不可欠となります。
 遺言者の意思といえども、遺留分(*)を侵害することはできないのですが、兄弟姉妹とその子どもには遺留分が認められていないため遺言者の意思を優先させることができるからです。

*遺留分
 相続人が取得することを民法で保障されている遺産の割合のことで遺言者の意思に優先するもの

urushihara_law at 16:45|PermalinkComments(0)

2020年10月15日

家事調停手続き

 家事調停の代表的なものに離婚調停、遺産分割調停がありますが、どなたでも名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか
 調停は、家庭裁判所で調停委員を介してなされる話合いによる紛争解決の手続きです。
 具体的には、指定された日時(調停期日といいます)に家庭裁判所に出向いて、調停室という部屋に、当事者(申立人と相手方という言い方をします)が交代で入って事情説明をしたり意見を述べたりします。調停室に入らない方は申立人待合室、相手方待合室で別々の待機となります。従って、直接相手方当事者と顔を合わせることはありません。

 調停委員は男女1名ずつの2名で、中立の立場から、当事者からそれぞれの事情や意見を聴取し、双方の主張、意見を調整して紛争解決の合意を目指します。
 調停期日は平日の昼間に指定、開催され、期日1回の時間は1時間半から2時間程度で、1か月から1か月半に1回のペースで進められます。

 家事調停手続きには、弁護士を代理人として依頼した場合でも依頼者ご本人にも原則として裁判所に来ていただくことになっています。皆さん最初は緊張されるようですが、弁護士も同席しますので間もなく緊張も解れることと思います。また、分からないことや疑問、気になったことなどは弁護士に聞いてください。このあたりも代理人を依頼するメリットだと思います。



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